「集客」と「誘客」の違いとは。
よく似た言葉で、集客という言葉と誘客という言葉があります。
特に観光業界では誘客という言葉がしばしば使われています。
では、集客と誘客とは何が違うのでしょうか。
皆様が何となくはニュアンスを感じ取っておられると思います。
集客とはお客様を集めてくる事。集めるというと、ちょっと力技で引っ張ってくるようなイメージもあります。
一方誘客とは、お客様が自然に集まってくるようなイメージだと言われる方がおられます。
つまり、お客様が主体となって、自分から集まってくるように仕掛けを作っていく事だと言えます。
しかしこれは集客の手段の一種ではないかと言われたら、やはり集客の仲間と言えるでしょう。
お客様に集まってもらう為の行為全てをさす「集客」という大きなくくりの中に、お客様が自分から集まってくる仕掛けを作る「誘客」という言葉がありそうです。
集客と誘客の違いは何かという事を考えるのではなく、何をもって誘客というのか、何が欠けたら誘客と呼べないのかを定義したいと思います。
まず、誘客の場合は、お客様が主体となって、自分から集まってくる事なので、主体が違います。つまり、主体となっているのが売り手側ではなくお客様であると言えます。
しかし、「誘客=お客様が主体となった仕掛けです」と言われても、売り手側からみたらどのような行動をとれば良いのか、具体性に欠けるので分かりづらいです。
もう少し具体的になるまで追求してみましょう。
誘客とは「誘う」という言葉と「客」という言葉の組合せです。
では「誘う」という事は何なのかを探っていきます。
誘うという言葉はどのような時に使っているのでしょうか。
友人をお店に誘う時に、「◯◯に行こうよ!すごく美味しい◯◯があるんだよ!」というような会話をします。
他には、戦で「◯◯に敵を誘い出して・・・」というような使い方があります。
時には、誘っている事を見抜いてしまい、「あえて誘いに乗ってやろう」というセリフと共に、作為に気がついていないフリをしたりします。
誘うという事は、相手の方が自分の判断で、「この行動する事が良い」と感じた事によって、実際に行動しています。誘っている方は、あくまで教えてあげたり気づかせてあげたりしているだけです。
「誘」という文字を分解してみると、「言」と「秀」という文字から成り立っています。
「秀」という文字は、植物が由来となっています。調べたところでは、お米の花が見事に咲き誇り、最も美しく、秀(ひい)でた状態を、形として表したものとの事でした。
誘うとは、見事で魅力的な「秀でている」部分を「言葉にして伝える(もしくは行為や環境など意図的に操作して相手に気付かせる)」事ではないでしょうか。秀でている部分を、意図的に伝え気付かせる事で、相手の方から「コレは良い!」と判断させて、行動させる事だと言えます。
そこには、誘っている側の意図的な部分は伝わっていないはずです。
最初にもどって、「誘客」とはどういう事でしょうか。
「商品・サービスの秀でている部分を」、「意図的に、お客様が使っている言葉と同じ言葉で伝えて」、お客様に自ら動いてもらう事と言えます。そこには、売り手側の意図である売込みは感じさせていないはずです。
以上見てきた事をまとめると、<strong>誘客の定義は「売込みを感じさせない集客の仕掛け」</strong>と言えます。
「売込みを感じさせない集客の仕掛け」とはどのような物があるのでしょうか。
例えば動物を使ったCM。CMなのでよくよく考えたら売込みだという事は分かるのですが、一見するとその可愛さや面白さを頭にインプットしてしまいます。シェアしたくなる面白い動画もそれにあたります。ペットボトルの絵柄を全部集めるとアニメになっている等の発見した喜びを感じさせてくれるというものもあります。
こういった仕掛けが、ここ数年の間で「コンテンツ・マーケティング」という呼び名で定着してきています。
「売込みを感じさせない集客の仕掛け」とはどのような物があるのかという目線で、世の中を見渡すと、沢山の発見があると思います。